感想を書く時点でネタバレを全く気にしないので、まだ読んでない方はそっと戻っていただいて……ではいきますか。

負けヒロインが多すぎる! 9

 最新刊の9巻。個人的な見方としては9巻のメインひばりと桜井君、そして小春の3人のお話。この3人の関係性が遂に決まる。ずっとひばりと桜井君は相片思いとか実は付き合ってるとか家同士の婚約者とかそんな辺りかなと思っていたけど、小春という彼女がいる?となるとよく分からなくなってはいたんだけれど。

 小春自体は良い子だったと思う。ある意味、マケインキャラらしいキャラというか。行動力がちょっとおかしくて、何で温水の所に家出して住み込み始めるのかという辺りは、かなり無理を感じた。そしてそれを可愛い女の子が家にいるって喜んでる温水はやはり少しおかしい。

 この3人の関係性については、正直、桜井君が分からなかった。小春は分かり易かった。ひばりも押し隠しているだけで本当は……も分かる。桜井君は小春のことを本当に好きだって言ってたし、嘘ではないんだろう。ただ、恋の方ではなかったのかな。それにしても話し合おうとしなかったり距離を置いていたり……後半年でってのはひばりが卒業してこの街を去っていくからで、去っていったら小春ともっと向き合うつもりだったんだろうか? それはそれで失礼ではあるんだけど。

 ひばりは我慢してるんだなって何となく思ってた。この人のキャラだとそんな感じかなと。

 だからその分、小春が良い子に見えたんだよな。過去の話でひばりと桜井君が両家の問題として騒ぎになっている時に割って入って救ったけれど、あの時点でもう分かっていて、だからこそ温水君相手にホテル行こうって言ったり、色々と当てつけではないけれど、初めてはもう無いもの同士になろうとしたのかなとか、思った。最後は立派に桜井君を振って、しっかり負けヒロインになったね。でもこの作品で負けヒロインになると温水君の周りに現れるように……小春はならないで欲しいなぁ。

 さて、もう一つの軸。温水君が女の敵である問題。八奈見さん、今回かなりうっかり感情あふれ出ちゃってるからなぁ。

「温水君は私のなんですけどっ?!」

 言っちゃった(笑)。そりゃもううっかりな八奈見さんも慌てるし、それを言われた小春もびっくりだけど、それに対する温水の返しがなぁ……敢えて避けてるんだろうけど、まるで恋愛とは関係ない全然的外れすぎる返しはなぁ……

「「はっ?」」

「「そういうところだよ温水君!」」

 そりゃ二人揃って化け物でも見るような目で見てくるわ。ここまで来ると、もう陰キャで独りが好きで背景のモブです、なんて言ってられた1~3巻の頃とは違うだろって。少なくとも天愛星さんから告白されて、それへの返答も先延ばしにしている状態で、そもそも負けヒロイン達に何人も関わってきて、心の機微にも触れて、それでいてこれは無いよねぇ。女の敵で間違いない。

 夏祭りでの天愛星さんと八奈見さんの邂逅……まあ、あれも温水君が余計な言い方をしたからだし。天愛星さんが結構積極的に頑張ってるのが、今回の小春を見ているようでちょっと切なかったりもする。

 志喜屋先輩が出てきた時だけ、妙にポエムっぽくなるのもなぁ。個人的にこのラインが好きではあるんだけど。志喜屋先輩がどこまで本気なのか分からないキャラってのもあって。でも志喜屋先輩は私としては大好きキャラなので、あまり切ない展開にならない内に、思わせぶりな先輩、ぐらいで卒業してほしいなと思ってる。

 エピローグでの温水家での文芸部花火大会で……これもまた駆け引きというか微妙な関係が見えて面白い。八奈見は当然のように食べてるし、しれっと温水の横にいる。温水の所に佳樹が来たり焼塩が来たりリコが来たりひばりが来たり……小鞠の所には自分で行ったり。

 この時に、八奈見と佳樹、八奈見とリコ、佳樹とリコ、ひばりと焼塩、八奈見と小鞠は会話してるんだよね。色々と温水に対して粉をかけてるし佳樹とリコはいつも通りにせよ、リコからのは既に先に焼塩で楔を打たれてたり……温水君も流石に佳樹とリコルートは無いよなぁと思うが(笑)。

 しかし、温水君の横にひばりが来て、そこに焼塩が話しかけてきてって流れがあるのに、その間、八奈見さんは一言も話してないんだよね。その後、温水君が小鞠の所で話してると八奈見さんが寄ってきて話に入ったりするのに。8.5巻の「ポケットに秘密を詰め込んで」での八奈見さん・焼塩のやり取りが尾を引いてるのかな?とか思うと、ちょっと面白い。9巻は、この温水君を巡っての女同士の鞘当てが激しくなってきていて、これで気づかないってのは流石に無いだろうってぐらいの。鈍感系主人公でもどうかと。ラノベ好きなら、気づいてるだろうよ、流石にと(笑)。

楽しそうに青く染まった舌を俺に見せる天愛星さんの姿が、脳裏に浮かぶ。

「このままじゃいけないよな……」

 これは、10巻で天愛星さんが振られるフラグか……? 健気に頑張って、ちゃんと告白してきた子なんだけどなぁ。ちょっとポンコツででも一生懸命で……腐ってさえいなければほぼ完璧な子なのに(笑)。

 さあ、10巻はどうなるかな。天愛星さんの告白を断るとしたら、きちんと決めて断る事になるんだろうし、その時誰を選んでいるのか。八奈見さんはメタ的に今回は勝つんじゃないかと思わせてくれていつつ……うーん、最近文芸部活動が無いから、コンビニ小説が読めないんだよね。八奈見さんのコンビニ小説読みたい。どうなっているか知りたいんだよ。他の子達もね。

 そろそろ話としてはまとまっても良いぐらいだろうし、志喜屋先輩の卒業絡みで温水君が喪失感とかあわよくば志喜屋先輩に振られて負けヒロイン組の経験もした上で八奈見さんと向き合うのも面白そうではあるんだけれど。次の10巻はいつ出るのかな。アニメ2期よりは早いよね?(笑)


『負けヒロインが多すぎる!』アニメ公式ガイド ~原画集・イラストブック~

 続いてアニメ公式ガイドブック。アニメは完璧だったと思うぐらいレベル高かった。絵も綺麗で音楽も良くて声優さん達の演技も良くて。それらが組み合わさって凄い破壊力のあるアニメになった。あの話数で話を収めるためにあれこれカットしたってのも分かる。温水のモノローグもほぼカット、文芸部のそれぞれの小説もカット……とか色々カットされた上であの完成度は凄い。

 そうしたイラストの数々や各話の振り返り。そして私がこういうので大好きなのは制作陣の対談とか声優からのコメント。メインキャラだと2ページぐらい使ってしっかりインタビューしてくれてて、それを読んでいてとても楽しい。制作陣対談も、美術面や音楽面、作品全体のプロデュース等、どこまできめ細かくやってるんだ拘ってるんだと、熱量が感じられて非常に良い。

 まあ、その結果であれだけの人気が出て、2期も決まってという中で単純に喜べない気持ちもわかる。あれを超えるの?っていうプレッシャーがある事も発言であったけど、そうだろうなぁと。1~3巻がマケインのコンセプトっぽい話だったけど4巻から変わってくるしね。

 でもね、私は期待してる。1期のなぞりじゃなくて、2期の内容だからこそのまた制作陣の拘りとかが見えたら嬉しいな。改めてまたアニメを振り返りたくなる良い公式ガイドブックですわ。