細かくストーリーを語る気はないけど、思い切り内容には触れるので、ネタバレ嫌な人はここまでで。まあ、公開からかなり時間経ってるし今更大丈夫とは思うけど念のため。

 久しぶりに映画を観てきたわけだけど、非常に良かった。2時間40分ある映画だけどあの世界に没入出来てとても楽しかった。

 感想を大きくまとめると、「お伽噺なんだな」という事と、「ライブシーンが凄く気合入ってて良かった」事、そして「かぐやの設定」が当たり前だけど物語の核にあって、それがツクヨミ世界と繋がっていてと分かるラストの処。後は「彩葉の変化」かな。

 お伽噺なんだなというのは、当然ながら竹取物語が前提にあって話が作られていて、そしてかぐやがやっぱりかぐや姫で月に帰るわけだけど、後半の設定関係は一度見ただけでは分からんなぁ。でも、私はそれはそれで良いなと思った。お伽噺って大体よく分からないし。何か知らないけど話は終わってしまう。めでたしめでたしとなったり、後味が悪かったり色々あるけど、それでも終わってしまう。

 ちなみに、偽エンドの方で終わってたらこの感想じゃなかったかもしれない。偽エンドの時は納得いかないというか、まさかこれで終わりじゃないよね?と思ったし。思ったらすぐに偽だよって事で話が進んで良かったけども。そこから先の展開はそんな事ができるのかどうかとか理屈は関係なく、めでたしめでたしに向かっている話として私は受け止めている。タイムパラドックス的な所とか技術的な所とか、そんな事言いだしたら訳が分からなくなるけれど、分からないままで「そう」なんだと受け止められたから、私の中でこれは立派なお伽噺として楽しめた。

 ライブシーンはねぇ……仮想空間ならではの演出とかカメラワークとか、凄く綺麗。その中で3人がただ歌って踊るだけじゃなくて、感情を見せていたりじゃれあったり、それが凄く綺麗だった。これね、かぐやの設定の話にも繋がるんだけど、ヤチヨがかぐやな訳で、だからこそこの3人のライブシーンって、彩葉を挟んで今のかぐやと8000年待ったかぐやなんだという事がラストの方で分かって、そして分かった上でヤチヨ・彩葉・かぐやの3人のライブを思い返すともうね……背筋がゾワってしたし感動した。

 かぐやは8000年もの間、彩葉を待ち続けて、そして今のかぐやがいて、そしてそのかぐやが彩葉と過ごした時間があるからこそ、敢えて何も言わず3人でコラボライブをやって、その記憶を持ったかぐやが……というループ。だけど、彩葉の両隣にいるのはどちらもかぐやなんだ!って分かった時に、今を楽しんでいるかぐやと8000年間この時が来るのを待っていたかぐやなんだって思うと、あの凄いライブシーンが見てて良いってだけではなくて、意味合いとしても凄く良いなと。

 彩葉の変化は、ある意味分かり易く描かれていたけれど、高校生が親と反発して一人で頑張って頑張ってって、それをやれている彩葉も凄いんだけど、友達から見てもある日ふっと消えてしまいそうなぐらい限界に見えていて、かぐやと出会ってから明るくなっていくのは、あのかぐやの自由さが良い影響を与えてたんだろうなと。

 かぐやは一目で彩葉を好きになったって言ってるけど、彩葉だってずっとヤチヨを推していて、そのヤチヨは今のかぐやが彩葉と過ごした上で8000年待ち続けていたかぐやなんだからね……見捨てるなんてできないし、彩葉だって結局はかぐやが好きだったんだよね。

 そして偽ED時点での彩葉は、変わっていない、流されている現状から変わっていない、そんな終わり方で良いのかと思ったわけだけど……そこからのそれを真っ向から否定して、進路から何から変えて、母親にもきちんと話をして、そして父と作りかけていた曲も完成させる。それがまたね……ヤチヨが歌わなくなったデビュー曲はお役目完了の意味と繋がっていくとか、もう泣きそう。そしてその歌が月に戻ったかぐやに届いて、かぐやがもう一回!ってなって、でも今度はきちんと仕事終わらせて引継ぎまでやって地球に向かうってもう最高でしょ!

 そういうのは理解していった上で一番好きなシーンは、「彩葉、大好き」って言うかぐやのシーン。ツクヨミでの会話だけど、ここだけリアルに戻ってる、このシーンが良かったなぁ。釣られて泣きそうになる。かぐやの方にも彩葉の方にも。これは辛い、切ない。リアルに戻ってきた時にもうかぐやがいない、あの喪失感とセットで一番印象深いシーンだった。

 新ED後のスタッフロールで流れるBump of chikenの「ray」をかぐやverで歌ってるのも良かった。あれ、やっぱり初音ミクとBUMPがコラボしたってのが影響してるのかな。バーチャルアイドル?がいる世界での歌って意味で、この曲が流れるのはBUMP好きとしてもうれしかったし、この世界観とも合っていて良かったよ。

 いや、もう本当にね、何となくネットでやたら話題になってるなーと思いつつ、腰が重い私は行ってなかったんだけど、これはその重い腰を上げて行った甲斐があったな。これが人気になる理由が凄く分かるよ。色々と刺さってくる良いお話だった。余韻に浸りつつ、ある程度これまでは避けてきていたネットでの感想とか動画とかも見てみようと思う。