例によってネタバレありまくりなので見たくない方は避けて下さいな。

 恋愛モノって付き合うまでが一つのピークだと思うんだよね。そういう意味では4巻の「臆病だった自分にさようならを」がアニメ1期の最終回でもあり一つのピークだったと思う。個人的には5巻での付き合ってからの二人が初登校して周りが騒ぐのも好きだったけど。

 付き合った後の話ってのをどう作っていくかって作品毎に違うんだろうけどね。私が読んだ範囲では、純ブライドがそういう話として一番最初に読んだ気がする。告白してOKで、これが映画だったらここでエンドロールなのにねって始まる話。二人が同棲して、本当にひたすら二人の愛についての話が進む。幸せなだけではなくてすれ違ったり喧嘩したり……純愛物語だと思ったなぁ。

純(ジューン)ブライド(1)
吉田聡
小学館
2017-02-17

 一方、天使様の場合、ひたすらイチャイチャしてる(笑)。当人達はいちゃついてるつもりはないんだけど、読んでるだけで甘々で大変な事になる(笑)。

 そんな11巻は表紙がまず可愛い。まひるん可愛い。可愛すぎる。そしてカラーの「楽しかったな」の見開き2ページがね……良いのですよ。それこそ付き合う前の、特に最初に出会った頃の二人ではあり得なかった距離と表情。これが日常になっている二人が可愛くて。

 本編としてはバレンタインとホワイトデー。去年のバレンタインは付き合ってなかったんだよなぁ、この二人。ツンツン真昼の頃だから周としては期待もしていなかったっていう認識だけど、真昼側はもう意識してたよねぇ。それが今ではキスして耳元で囁くだけで腰が抜けるまひるんになってるものねぇ(笑)。

 そのチョコも、周の味覚も把握した上で10個全部味が違うボンボンショコラを作ってくるという凝りっぷり。

「ふふ、周くんの味覚は大体把握してますので、このくらいが美味しいって予想で作りましたとも」

「え、なに胃袋だけじゃなくて舌も捕まれてるの俺」

 幸せものめ……(笑)。

 そしてホワイトデーは、物ではなくて、周のバイト先見学。まあ、恥ずかしいよね、自分が働いている所を恋人に見られるの。それでステイし続けてきたけど、遂に解禁。そんな話を樹としつつ勉強して……の時に互いの彼女の何処が好きかって話をする時の、周の考え方が私に近くて興味深かった。まあ、私は高校時代にこんなこと考えなかったけどね。

「真昼の外見とか努力とか俺への気持ちの向け方とか、そういうのも好きだけどさ。俺は、真昼の何気ないひとときに幸せを見いだせる所が好きだし、一緒に居て何もしなくても心地よいって思える空気感も好きだし、一緒に何かした時に喜び合える所も好き。失敗した時もやってしまったなって笑い合える所も好きで、相手の努力を認め合える所も好き。一緒に同じ景色を見ていこうって手を取れる所が好き。違う事を受け入れられる心の在り方が好き」

「一緒に過ごして、取り繕わない素の部分を見て、自然体で居られて、変な気遣いなく穏やかに過ごせる……根っこの部分が一緒だって事がかなり大きいと思う。好きになって当然というか」

「今挙げた事を踏まえて、側に居たいし、一番幸せになってほしいし幸せにしたい、そう心から思える相手であった所……っていうのは、好きな所の答としては変かな」

 私は、結婚する時にこれを思ったんだよねぇ。だから、周の考え方に凄く賛同するし、お幸せにと思う。ちなみに、樹がスマホを弄ってる辺りで、おや?と思ったけど、その後でまひるんに話しかけて何か渡してるっぽいの……この言葉を録音したんだろうなぁ。明確にそれを聞いた反応が無いから分からないけど、多分これだよなぁ。いやいや、もう高校生とは思えない愛の言葉で破壊力抜群ですな。

 で、ホワイトデーにバイト先に呼ぶって聞いた時のまひるんの反応よ。滅茶嬉しそう。恋人にこんなに喜んで貰えたら嬉しいよね。バイト先に来たまひるんをさっと応対して、きちんと店員としての姿を見せてあげる周も大したもんだし。

「……すごく素敵です。いつもとは違う爽やかな感じがしてとっても似合ってます。格好いいですよ」

 こんな事を耳元で囁かれたらねぇ……そりゃ周もくらりと来るわな、真っ赤になるわな。何この二人(笑)。バイト先の先輩もからかいたくもなるよねぇ。ただ、そこで大橋さんがやらかして、真昼のスカートにコーヒーが零れて……は予想外。この後、早めにバイトを切り上げて二人でデートだって事でおめかししてきただけに、ここでこうなるのは予想してなかったよ。

 でも、これで裏の休憩室に真昼を連れて行って、オーナーが制服の予備を貸してくれて。何故かぴったりのサイズを用意出来るオーナー凄い(笑)。真昼は寧ろ周とお揃いの制服でテンション上がりまくって並んで写真撮ったりしてるし。寧ろご褒美だったんじゃ(笑)。そしてそこからの急遽呼び出して自分の私服からボーイッシュな一式を持って来る彩香もナイス。その格好で買い物して帰ってまったりと……良いですな。

 そして修了式。終わってからクラスで打ち上げのカラオケ。真昼も行って楽しんで……良かったねぇ、友達ができたよ。周と出会ってなかったら、こうやって天使様じゃない面を出す事も無かったんだろうなぁと思うと、周じゃないけど、本当に良かったねぇと思う。

 そんなラスト……真昼も見た記憶が無いと言ってるのに

「……ねえさん?」

 これ、真昼の父か母のどちらかの愛人との子供かね。茶髪で整った顔立ちとなると、父親側かな? 以前、父親が周に会いに来て、もう会えなくなるような事を匂わせていたから、尚更父親側かなと思う。

 これで終わらせてまた数ヶ月は次が無いのかと思うと、酷い引きをされたなぁと(笑)。

 最後の番外編のまひるんの「……あれ?」からの周を見つめて目をそらす辺りは、やっぱり周の言葉が、当然のように家族として一緒に考えていこうって言っている事に気づいたからかな。周も当たり前のようにそれを考えてるから、具体的には言った事がなくてもこういう所でポロっと出てくるよね。具体的にするのはバイトが終わって、指輪を買ってそれを渡す時なんだろうけど。それは真昼の誕生日でかなぁ。そこも一つのクライマックスだと思うので楽しみ。はぁ……早く続きが読みたい(笑)。