兄嫁も遂に15巻。最近、話がまとめに入ってる感じがするんだけど、この巻ではまだ完結になっていないので、最低でももう1巻はあるんだな。

 まとめに入ってるのは、時間が過ぎていく事もあるんだけれど、希さんと志乃ちゃんのそれぞれの気持ちの整理がつき始めているのがね……この漫画のメインテーマだと思うし。大志の死をどう踏ん切りつけるか。共依存になっていた二人がどう前を向いていけるかって話だと思っているので。

 でもなぁ、希さんが25歳で志乃ちゃんが18歳だから、まだまだ若いよね。未来がある年齢だから、前を向いて欲しいと思う。そして志乃ちゃんの方がある程度先に立ち直っていたけれど、それでも「あの時」いてくれたのは希さんで、お姉ちゃんがいてくれたからこそって面も大きいと思うので、この二人が前に進んで行って欲しいと心から思う。

 表紙の希さんの左手の薬指に指輪がはまってるのがまた嬉しくて。大志から貰いたかった、大志からつけて貰いたかった指輪を希さんがつけている。そして笑ってる。一つのハッピーエンドなんだよな。

 夢の中で、海に行って大志から帽子を被せられた時を思い出したりして……そこからの律子の海へ行こうとのお誘い。まあ、そこでまさか夢の続きがプロポーズの駄目出しとか、鬼畜過ぎる過去話なのが笑えるんだけど、大志がもういない事を思うと、それもまた辛い。でもまあ、その話だけで、希の考えてる事が分かってしまう律子は、希さんの親友なんだよ。

 この辺りから、どんどん進んでいくんだよな。律子はアメリカへ行く。志乃ちゃんは希さんからオムライスを初めとして色々なレパートリーを教えて貰って。これも母を亡くして料理を教われなかった志乃ちゃんの過去の後悔があるからこそ重いし……人は簡単に死ぬから。

 そして立花……ごめんで済むのか、それ。なんで気づかなかった指輪(笑)。

 この指輪どうするのかと思ったけど、そうか、志乃ちゃんが欲しいか。大志が希さんとつきあって寂しいかってことについては全く寂しくなくて、寧ろ自分の為に色々と犠牲にして頑張ってくれた兄に素敵な彼女がいて嬉しいって。でも、生まれた時からずーっと大志といた志乃ちゃんからしても、我が儘の一つも言いたくなったんだろうな。

私は 生まれた時からずっと 兄貴と一緒だった

だからこれくらいのわがままは言っても許されるんじゃなかろうか

 志乃ちゃんだって、兄を偲ぶ物が、気持ちが籠もった物が欲しいって。半分でいいから欲しいって。希さんも受け入れてくれてて、なんか良い姉妹だよなぁ。

 からの、突然のBBQ……なんだこの流れ(笑)。律子が絡むといつもこうだ(笑)。

 でも、海に来たから、希さんがいよいよ踏ん切りつける時がきて。皆いる時に結婚式っぽく志乃ちゃんと指輪交換。みなとがその立ち会ってるだけで大志を思い出して泣き崩れるのもなぁ……やっぱり皆、大好きだったんだよな。だからこそ悲しくて、それを志乃ちゃんには見せないように頑張ってたんだろうけど、やっぱりもう気持ちが来ちゃうよな。

 指輪交換……

「じゃあ 志乃ちゃん お願い」

「できない」

「…でもやっぱり 希さんに指輪をはめるのは私じゃない

 兄貴の夢だったはずだから

 だからさ 希さんにはやっぱり兄貴から受け取ってほしいな」

「……だけどっ…」

「うん

 現実ではもう叶わないけれど でも 心の中だけでも兄貴の顔見てほしい」

 ここで、志乃ちゃんが希さんに帽子を被せるんだけど……これって希さんが見た夢の中の光景と同じ。昔、大志が駄目出し喰らったプロポーズの時と同じ。もっとストレートにという駄目出しがあって、そして今、同じように帽子を被せて志乃の顔が見えない状態で指輪を希さんの薬指へ……

何度も何度も何度も夢に見た

彼が生きてる世界

 泣く。何度も見るよ、大事な人が生きていたらって、そんな夢を。夢だから叶わない、絶対に叶わないけど、見てしまう夢。それを志乃ちゃんが叶えてあげてるんだなって。偶然なんだろうけれど、それが希さんにとっても志乃ちゃんにとっても、あるべき形としてあるんだなって。

 顔を上げれば大志ではなくて志乃ちゃんがいるんだけど、それでも大志が笑って指輪をはめてくれた気がしたって、良かったよ。本当に良かったよ。

 そして、律子がアメリカへ行くので空港に見送りに。律子がふざけてるようで希さんの頬にキスしたのは、律子なりの愛情表現だよな。茶化してるんじゃ無くて、大事な友達への愛情の証。

「希 またね!!」

 「次はとかあると思うな」とか言ってた律子が素直に言ったもんだなぁ。でも、どちらもあるし共存するって言う希さんが前向きな思考をしようとしてる。

不確定な未来に対してあの日からずっと「不安」「恐怖」そういったものを強く感じるようになっていた

でも これからは… 明るい未来を想像したい

 本当に、大志の事も含めてある程度吹っ切れたんだなって。良かったなぁ……

 って思ってページめくったら、表紙のifバージョン……大志が生きて同じ場所にいたらがなぁ。「彼が生きてる世界」を毎巻見るのが辛い。3人とも表情が豊かで楽しそうで……元々の表紙は色々吹っ切れた時の顔であって、辛いことが無くて楽しい日々の顔とは違うから、だからここのページを毎巻見る度に「彼が生きてる世界」を考えて辛くなるんだよ。

 でも、それでも本編では、希さんが吹っ切れてくれて、これでいよいよ終わりに近づいてしまってるなぁと思う。良いことなんだけど、この私の感情を揺さぶりまくる漫画が終わってしまいそうなのは寂しかったりもする。でも……うん、やっぱり幸せな気持ちで終わって欲しいと思うので、このまま皆幸せになって欲しいよ。