新刊の第13巻が2/25に発売されて、Kindleで即読んだ。この漫画は1巻から好きで読んでる。好きというか感情移入が強い感じ。そういう事を感想で書くので、ネタバレ無しで感想書けないな。という事で、以下ネタバレ注意。
13巻は12巻での恩師の墓参りでの奥さんの話が繋がってる。大志の指輪の件がそこに繋がっていく。坂本先輩はほんと良いキャラしてるわな。
「言いたくないならいいよ 聞かないし
言いたかったら言って 聞かないから」
このスタンスを変えない。でも今回は聞いてと言われて、黙って聞いてる。自分自身の過去の経験もあってなのかなって思うけど、時に人は聞いて欲しい時もある。でも、言えないなら聞かない。聞いても何も言わない。だけど、ちゃんと相手を見ている。
「ちょっと空気入れかえよう
とりあえず深呼吸しなさい
あんた窒息しそうな顔してる」
ここで夕日が差して、大志との想い出がオーバーラップして、手を伸ばして……そしていない。この時の希さんがもう死にそうな顔してるんだよな。
「…私の…夫 他界してるんです 1年……ちょっと前 その前は志乃ちゃんと3人で暮らしていて…だから今はそのまま二人で……ずっと他人に言えなかったんです だって言っちゃったら認めた事になっちゃうじゃないですか…」
この一言目がずーっと言えなくて苦しんできた訳で。だから志乃との相互依存になっていて、少しずつ前向きになっていてもそこはどうしても駄目で。いつも少し良くなったと思ったら、ここで落ちるんだよね。でも分かる。何とか日常になって、普通に生活するようになっていても、ふとした瞬間に墜ちる。それはとても苦しくて、辛くて、悲しくて、何もかもがもうどうでもよくなる。そんな瞬間。でも、これでやっと一言目が言えて、そして怒りたいって気持ちも湧いた。恩師の奥様の言葉がここで繋がっていくんだなぁって。
一方で志乃は志乃で、小泉さんとの話の中で、希さんとの別れを想像して真っ暗になってる。以前、祭りで他の先生といる姿を見ただけで顔色が真っ青になるぐらい精神的ダメージ受けてたもんな。兄貴の嫁で、自分の義姉で、その関係であり続けたいと思うからこそだけど。この二人は他人であってそこを繋ぐ何かってのは志乃にとって課題だね。でもそれはきっと希さんも同じで。相互依存という関係ではなく、それぞれが新しい道に進んでも大丈夫な繋がりって欲しい気持ちは分かるな。
立花が遂に大志の位牌に手を合わせる事が出来たシーンも泣ける。ただ黙って泣きながら20分座ってる。色々心の中で言ってたんだろうなぁって。まあ、その後、希さんとの会話が数秒で終わってしまったのは仕方ないんだけど、ちょっと気まずいわなぁ。
そしてみなとの応援。みなとが弱気な事を言ってるのは、プレッシャーなのかね。怪我もしてるし。皆で応援に行って……律っちゃんが無神経な事を言うのもいつもの事。大体意味があって言ってるんだけど、今回も志乃はある程度、自分の答になる事が分かりつつあるんじゃないかな。
「こうなる未来は望んでなかったけど 拒絶するほど最悪ばかりじゃないから 気持ちの置き場がよくわかんなくて困ってる ま ただ一つ確実なのは「もしも」はないから だから今ここにいる事に後悔はないよ」
大志が生きていたらバレーを続けていただろうという可能性、でも「もしも」は無くて今が現実。それを受け入れられるだけの日々があったし周りの人達もいてくれたってのがこの言葉に繋がってるんだろうなぁと思う。
これね、コミックスの表紙 表の絵がそれを表してて。大志が生きてて希さんと応援に来ていて、その応援席に志乃がみなとと行ってる。こういう未来の可能性もあったのに、大志が死んだ今、絶対にあり得ない。考えれば考える程辛い事なんだけどね。この表紙に使われる絵って、カラー表紙は大志がいない「今」を描いていて、そしてモノクロ表紙が大志がいる「もしも」の世界で……毎巻辛いんだよね、これを見るの。死んだ人は生き返らないけど、「もしも」生きていたらって思う場面はいっぱいあって、それをこうして突きつけられてる感じで。本編が良い感じで終わっても、この表紙にやられるんだよなぁ、毎巻。
それでも少しずつ希さんも志乃も変わってきているとは思うし、ここからどうするかな。志乃が何処の大学に行くかによっても変わってきそうだけど。物理的に離ればなれになるのかな。そうなるとその辺りで一つの物語の終わりになる気がする。
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