くずしろ先生は多作で色々な漫画を描いている。一番好きで、一番離れられないのが「兄の嫁と暮らしています。」で、これはもう、大事な人を亡くした想いが死ぬほど分かるから、完結まで見守り続ける漫画。

 一方この「笑顔のたえない職場です。」は、漫画家が主人公という、くずしろ先生の体験ネタが色々ぶち込まれてるのかなって思う漫画。実際、くずしろ先生が描いている漫画と被ってるから、わざとなんだろうなとは思うけど。多作なくずしろ先生に対し、この漫画の双見先生は悩んで悩んでなかなか描けない代わりにスイッチが入るともの凄い集中力で描き上げるという……でも、その悩みが凄いので月間連載一本でひぃひぃいってるという、この落差よ(笑)。

 その最新刊の第6巻が9/20に発売された。前巻ラストは編集の佐藤さんが、またもや報連相をきちんとしなかったせいで、突然岩手の書店につれていかれる話だったけど、その続き。しかし、女性の漫画家、女性の担当者というこの組み合わせで、

「双見のご両親に挨拶に行きたいなって」

 いや なんで!?(笑)

 まあ、理由の説明で分かったけど、何気に佐藤さんの中での双見先生は、相変わらず子供のような感じなのね。庇護対象というか……まあ、愛ですな。実家だからこそ双見先生の子供時代の話とか、漫画のルーツとか出て来たりして、読んでて楽しい。

 不安定な職業なのに応援してくれる家族達、頼れる編集の佐藤さん……が、思わず言ってしまう一言。

「今後は何かあったら 奈々さんの事は私が全力で支えます」

「結婚のあいさつ…?」

「ちがーーーーう!!」

 ナイス!(笑)

 もう最初の話で楽しめたからこの巻も当たりだなと思ってたら、次は梨田さん。そして梨田さんだととーこさん(笑)。まさかの水着回があるとは思わなかった(この漫画については単行本派なので、連載は読んでない)。何気にとーこさんは別漫画とは少しキャラが違う気がする……でも、本質は勝負師なんだなぁと改めて。

 梨田さんと新人編集のやり取りも笑った。このやり取りは、くずしろ先生が思うデジタル時代の漫画のあり方と編集の位置づけなのかなぁなんて思ったり。

 それと、漫画賞の審査員をする双見先生。相変わらず、編集長の凄み怖いわぁ……色々な伝説があるに違いない。そんな編集長の目が見開かれたコマが一コマあって、一瞬誰か分からなかった(笑)。

 まあ、この審査の流れも面白かったな。始まる前はピーピー言ってたのに、いざ始まるとスイッチが入って没入していくし。トップ賞が決まってから連絡が早くて笑ったけど、これは最後のオチに繋げる為にも必要だったのかなぁ。いやぁ、これはなかなか良いオチだった。編集長、最後までやり手だわぁ。

 ということで、次巻も楽しみ!